漂白するな

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YouTubeのコメント欄で「やっぱ金属バットですわ」「生ぬるいお笑い芸人蹴散らしてくれ」って言ってたやつら、どこ行った?「こんなネタで笑ってる人の感性を疑う」「客までクソだらけ」って言われてるけど。7年前のネタを掘り返されて炎上するのは、それこそ「表現の不自由」って言われてるものの存在を感じなくはないけど、それとは別にいわゆる「お笑いファン」たちはやっぱり自己批判できないんだなと思うよ。「笑ってしまってたけどこれはやっぱりダメだったね」もなければ「笑っていた自分の感性は正しいと思う」もない。「ガタガタうるさいやつなんか無視してぶちかましてほしい」「何にでも文句言われてしまう時代でかわいそう…」なら、クソだけどまだ良い方だよ。自分のスタンスを提示しないのがクールっていういつもの姿勢でダンマリか、あるいはもう別のアングラ芸人に鞍替えしましたか?


ミンストレルショーから、あるいはもっと前から「何を笑って良いのか?」という疑問は確実にあったはずだけど、ここ数年明らかにその問いが大きくなってきている。のに、それはあまりテーマにならない。お笑い芸人がサブカルバカの慰みものにされてるのが良くないんだろうな。マンガのキャラクターみたいに勝手に自分の理想を重ねて、漫才師をアイドルかマスコットみたいにしてるみたいなのが。かっこよく撮られた芸人の写真と一緒にクイックジャパンのインタビュー読んで「感動した!」みたいなこと言ってるやつ。その写真iPhoneで撮ってSNSのアイコンにしてるみたいなやつ。bio欄に「四千頭身🧑🏻👶🏽👦🏻/和牛🐮 川西さんと結婚したい」みたいなこと書いてるやつ。「好きなお笑い芸人」を、カバンにつけてるストラップかなんかだと思ってるやつ。いつも非難の言葉を投げつける先を探してる人に「こんなネタで笑ってるなんてクソだ」って言われても言い返す言葉なんかあるわけないよな。だってそのうちストラップなんか付け替えるもんな。「金属バット/Aマッソ」って書いてたやつも同じなんだよ。「尖ってる」とかわけわかんない言葉で褒めるわりに、自分にはなんの思想も信条もないんだろ。理不尽とも言える非難を受けても、それに打ち返すだけの言葉がないんだもんな。


学祭の実行委員のアカウントに「差別芸人の金属バットを呼ぶなんてどういうつもりですか?」ってわざわざクレーム入れに行ってる人がいる。この人のことはすごく嫌いだけど、どうやったらその人にきちんと反論できるんだろうか。自分にはわからない。散々悪口を書いたけど、それは全部自分のことだ。席に座って笑ってるだけで良かった幸せな時代は終わったんだろう。坂上忍宮根誠司がこの問題について適当なことを言っているのを見てしまったら、リモコンを投げてしまうかもしれない。どうしてこいつらは「お昼の顔」なんだよ。